仕事用のめもとか。

メディア等気になることを適当に。

『セカンドライフ 仮想コミュニティがビジネスを創りかえる』のメモメモにゃ。

=各界のレビュー=
2008-11-26 - それでもとりあえず、吐き出しておこう!(概要)
(詳細)
[を] セカンドライフ - 仮想コミュニティがビジネスを創りかえる(感想)

読み始めたら面白いのはいいんだけど、参照文献データがねえ!文献リストどころか出典を探しようがない言及大杉!!絶望した!!!
文献データがない本とかって、ネットにつながってないパソコン並みに使えないよ!!! おかげでハワード・ラインゴールドがレインゴールドってことになっちゃってるし…検索かけてもわからんやないか。
というのはとにかく、読んでて面白かったところを適宜追記していく構え。
とりあえず、SLでデフォで飛行できるのは、プロトタイプの「リンデンワールド」時代によじ上るアニメ作るのがまんどくさくて飛ばしたのが継承されたとか書いてあって噴いた。まあたしかにアバターの大きさ違うのにちゃんと辻褄合わせて見せようとしたらめんどくさい。FFXIも華麗に誤摩化してた記憶。

全体としては、
イントロダクション:MUD、ハビタットUO、EQと先行するほにゃららサービス群の紹介。『スノウ・クラッシュ』。カストロノヴァ。
1〜4章:セカンドライフ草創期。「リンデンワールド」からほにゃららくぽ。
5〜8章:ユーザー視点から見たSL
9〜13章:SL内活動とファーストライフ内活動の融合
みたいな構成の模様。
以下、「#」で始まる行はめも子のコメントですということでざっくり内容紹介。
でも訳書読んだ方が早いですけどね!アホネタびっしりで噴くし…

イントロダクション

・2007年8月号「サイエンス」掲載論文への言及(p7-8)

オーラフ・ブランケ(ジュネーブ大学病院):アバターの物理的位置を被験者が自分の位置だと感じるようになる
ヘンリック・アーソン(カロリンスカ研究所):アバターを金槌で殴るとアバターを操作していた被験者に身体的な反応
※カロリンスカはとにかくジュネーブはなんで大学病院? 心理学てことなのか。

セカンドライフの体験を支える3つの柱(著者視点)(p16-17)

1)ビーバップ・リアリティ
即興性と相互に影響を与えながら構築される現実、みたいな方向?
2)感銘社会 ※感銘の原語を原書でチェック。なんじゃろ。て、impression societyらしいでした(セカンドな日常:読書会に参加しました - livedoor Blog(ブログ))。この本関連ページしかぐっぐる先生は出してこないので、なんかのジャーゴンではないぽい。

文化的、経済的、社会的な貢献の相互評価がinWorld社会の軸。
3)両面的な繁栄
セカンドライフへ貢献すればファーストライフの側にもよい影響が生まれるし、その逆も真という信念。リンデンの基本原則。

「しかし実際のところ、セカンドライフの開発目的はメタバースの構築ではなかった。少なくとも当初の意図は違っていた。今のような形になったのは偶然であり、結果にすぎない。」(p.34)

ちょwww

1章:心を動かす認識

ローズデール:シングルセルシミュレーション、マンデルブロー集合に萌え。圧縮ソフト作ってたらリアルネットワークスに買われてリンデン起業までストリーミングやってた。
バーニングマンてよくわからんイベントで、サードプレイス的な体験。

「ローズデールはプログラミングをしながら、いつも、このことを考えていた……人間の体をインターフェースにしたいと。『どうしたらできるんだ? どうしたらコンピュータの中に入れるんだ? 中に入ってドゥームをするのではなく、モノを作るために』」(p.40)

2章:3次元のネットを想像する

スノウ・クラッシュ』は後の嫁に貰って読んでたけど、初期は自然環境のシミュレーション内に人が訪れる〜みたいなイメージだった模様。(p.46-47)

#=参考・アバター関連タイトルの初期ビジョン(不適切な要約を含んでいる可能性があります)=
UOリチャード・ギャリオット):昔はなにかっちゅうとウチにみんなで集まってTRPGやって楽しかったのに、みんな大人になってなかなか集まれなくなったお;; さびしいお;; 離れてても一緒に遊べるのを作るお!!!(『ダンジョンズ&ドリーマーズ』にそげなことが書いてあったと思う...うろ覚え)

ダンジョンズ&ドリーマーズ

ダンジョンズ&ドリーマーズ


splume(梶塚社長):CGをやってたらインターネットに出会って、じゃあCG空間がどんどんつながっていったらすごくね?という発想からほにょほにょ(参考:not メタバース、but 3Dインターネット@スプリュームぶろがミーティング。 - 仕事用のめもとか。
#ええと、非常に適当な表現ですみませぬ...
#女神幻想ダイナスティア(石山さん):色々遊んでみたら、新規vs.先行問題が持続的な楽しさを提供し続ける上で構造的なネックになるわけで、だったら先行が新規をサポートするのが「楽しいこと」として成り立つ仕組みを作ればよくね?(参考:AOGC2006、頼りにならないレポシリーズ2:「荒れないネットコミュニティの作り方」by石山隼行氏 - 仕事用のめもとか。
#ええと、非常に適当な表現ですみませぬ...

2000年ごろ:「リンデンワールド」の開発開始。

初期メンバーの趣味志向でカオス。岩<鳥<蛇の食物連鎖がある環境と、破壊活動能力大盛りのロボットアバター。意味不明。
 各種シミュレーション技術の取り込み
 ストリーミングベースの技術
 →クライアントを3次元ブラウザであると位置づけて「ビューアー」と呼ぶ
 →コラボレーションによる動的創造
 MMOのように鯖分割はせずにワンワールド死守
 ※当初から個人が鯖立て&相互接続のプランはあった
 たまたま、投資家へのデモ中に暇なスタッフがコンテンツ作成ツールでネタやって遊んでた→これをメインにすべきじゃね!?という流れに(p.54)
 →ようやく『スノウ・クラッシュ』とつながる。
 →「人々が構築する世界」を成り立たせるために、ロボじゃなくてまともな「アバター」を作成することに(p.55)

「人は人工物を作ろうとするものです。そして、人工物を持てるようにするなら人が必要になります……つまりアバターです」

#「モノが作れるアバターサービス」ではなくて、作ったモノとインタラクションするためにアバターが必要という逆転の発想というか倒錯。
#このあたり、リンデンがアバターサービス企業に成りきれていないというか成る気がないというかなれないというかな根本的な要因があるような予感。

2002年3月:クローズドβ開始

 最初の登録者Steller Sunshine(4人の子の母。3D経験のあるウェブグラフィッカーでねとわくカルマも鬼積み)が一晩で小屋と、豆の木よじのぼりゲームを作る。(p.56)

I once lived in the land of prim eating snakes. O where o where has that land gone that I've but for a moment forgotten?

(これ書いてる時点での彼女のプロフィール)
 →まだあるらしいっていうかあった。
http://slurl.com/secondlife/Welsh/33/133/28

Second Life」という商品へ

マテル社(バービーとか)から来た人が命名。
コンサルとしてラインゴールドも来て、ルポが書けるライターを雇うことを提案→著者が契約。
ラインゴールド的にはバーチャルコミュニティ理念復活を望んでいたらしい。

2003年4月

数千人規模のβユーザーの一人として、著者初ログイン。当然しょっぱなからカオス。

3章:創造のエンジン

ネクサスプライム

2003年初頭に実装されたグループ共有によって作られた謎の変容しつづける建築物。
http://slurl.com/secondlife/Gibson/144/187/81
#現在は普通の近未来都市風…にみえるけど、かなり広いんでよくわからん。地下が凄いらしい。運営形態は謎(たぶん今は変更できるアバターを絞ってそう…)
「三次元Wiki」(p.69)
サイバー世界観に合わせたロールプレイみたいな遊びも生まれる。
→このプロジェクトからコミュニティが生まれ、またメンバーの多くがSLコンテンツクリエイターやらリンデン社員となる。

4章:集団の無知

商用リリースへの遥かなる旅。

この頃出て来た競合サービス
 There(マケナ・テクノロジーズ):CGM要素はあるけれど、公開には運営の了承が必要
 シムズ・オンライン(EA):CGM要素を当初より大幅に縮小して公開。ピーク時でも会員数10万人以下。
リンデンスタッフの一部はMMORPG出身者であり、そのへんとも比較しながら仕様策定。

アバター策定

→結局、性別のある現実的な大きさの「デフォルトのアバター」を用意して、それを拡張させることに。
#「なんでもできる」けれど、縛りを入れないと、運営もしんどいしユーザーもしんどい。制限が逆に創造性を刺激。

「身長2.4メートルのガンダムを見かけたとき、それはコスプレであり、中には自分と同じような人が入っていることがわかっている……そんな考え方がいいと思いました」(p.84)

ユーザー側の自主規制
例:せっかく飛べるのにみんな重力に縛られてるお!!
#このへんは、ファーストライフとのアナロジーを保つために色々ありげな予感。

相互評価プランの大失敗

たぶんe-bayとかのアレ。ランキングすれば自動的に優良コンテンツへナビれそうという期待…
・コンテンツ編
 →相互投票、票の買い取りなどを招く。
・アバター編(言動、構築スキル、外見の3項目)
 同上。さらに徒党を組んで、マイナス評価テロをするアホ出現。
 逆にプラス評価がついたアバターがなにか不正をしたのではないかと疑われる。
#2007年春にいきなりトラフィックめんどくさいで廃止。代替機能が一瞬出たけどそれも廃止。
#実装されてた時期にやってた山田さんが言うには、知らん人と合うとまずチェックして、相手との間合い計る参考にしてたみたいな。
#ネットオークションやアマゾンなどではレーティング機能は基本的にはうまく行っている。
#ファーストライフで顔を合わせる組織内で、互いにどうつけられているのかすぐ見れるかたちでレーティングってちょっと考えられない。
#なんでSLの場合はだめだったのか?
#母集団が少ないので、不正の影響を受けやすい、評価乞食or評価を金で買うことができる、高評価のアバターに激しくジェラシー(アマゾンとかで発生するとは思えない感情だけど)などなど。
#そもそも同期的なコミュニケーションにレーティングが合ってない?

土地所有者のレーティング(トラフィックインセンティブ)も大失敗…

自分の土地に多くの人を集めた所有者にL$のキックバック制度
→放置キャンプ乱立、カジノ、アダルトコンテンツ最強。
→キャンパーまみれのKASO世界。十分ファーストライフでお金があっても、ながらでキャンプ放置。

「キャンプに座っているのは、セカンドライフを創ってる人と違うタイプの人なんです。セカンドライフセカンドライフたらしめている人たちはキャンプになんて座っていません。そういう人は、何かを作ったり創ったりするのに忙しいですからね」(p.91-92)

→廃止になった後も、キャンプは残る(人が人を呼ぶ緑点効果)

民主主義システムは…いまいち

食いつきが悪いというか。バグ洗い出しの協力ですら反応鈍い。
#これは読書会で、どこでなにやってんだかちっともわがんねえ問題があるべと指摘アリ。
多数の意向を受け付けたいと思えばそっぽを向かれ、なんか実装すると想定外の悪用されるっと…
#このへんはお前ら野島本読みやがれです!

最終的にうまくいったの

プロフィール情報の1st life欄…
長い間空白だったけど、企業参入するにつれて、アクティブユーザーは使うようになってきてる
#JPで使ってる人ほんといないけどね!!!
#個人的には、相手のプロフに書き込める、自分だけが読めるメモは大活用してるかも…だって、誰が誰だか誰なんだぜ?な瞬間が。

5章:自家製人間

※主にアバター周りとユーザーのアイデンティティの問題。
#このあたりは、シェリー・タークル『接続された心』へん参照のことあるヨ

プリム髪、ピクセル・ドールズに代表される素敵服の開発とノウハウの蓄積。
#SLやってない人に注:アバターがデフォで設定できる髪がクソすぎるので、カツラをオブジェクトで作成してかぶるのが一般的。
70〜80%が人間に分類できる形にとどまる(p.104)
スリム体型が多いけれど、あえてリアルの体型に近くする人も。
参考:アバターの身体性とmutual tuned relationship - 仕事用のめもとか。

・スキン
「黒人」スキンを着てしばらく出歩いてみた白人女性の体験
→「差別される側」として人種差別を体感。

・ファーリー、強化外骨格など
#獣人?北米ではなんか独自のサブカルっぽいんだけど正直よくわからない…国内初期ユーザーでもファーリー好きな方は結構いるっぽです。
動物スキー、変身願望、「真の」自己表現

・ジェンダー越境
リアルは男同士、inWorldでは女同士でinWorld結婚した人たちの例
ウホッはないのだけど、人柄が最適のパートナー。

6章:セックス

・SL内セクロス事情
2004年、カスタムアニメーション実装
※それ以前から不十分ながらなんとかしようとしてたらしい
→即日セックスアニメーション登場
 そのうち、産院&出産ごっこができる仕組みを創ったひともいたり。
#なんか海外だと、赤ん坊作って遊ぶ人がいるとかなんとかどっかで聞いた気がする

SL内→リアルかぽーでセックスアニメ関連ショップを始めた人達のエピソード。
アダルト映画のシーンからモーションキャプチャした無駄にハイクオリティなもので、ピーク時月8000ドル。そのお金で遠恋を若干解消…
といっても、こうした要素はごくごく一部。地域のレーティングをマチュアに設定している領域が18%、その中でセックス関連はそのまたごく一部。
#マチュア(オトナ向け。性&暴力アリ)、PG(プレイグラウンド/子供むけ…て、18歳以下はいないはずなんだけどね!)の2種類から1つを土地の種別として設定できるです。あと、スクリプト禁止とかモノ作成禁止とか、置いたものが何時間後に置いた人のところへ戻されるとか云々。
#PGじゃおかしい雰囲気のSIMやらなにやらが、明確なアダルトコンテンツ置いてなくてもマチュア設定にしていることも稀によくあります。

SLのアバターはそれぞれ個性的であるために、「魂を持っているとしか言いようがない」(p.132)感じがしたりで、「不気味の谷」を越える女性アバターもいる。

・浮気と嫉妬
探偵事務所がちゃんとあるらすい…ハニートラップもかけますよ!
アバターで浮気したら浮気なの?みたいな情緒が纏綿とする話とか。

7章:壁を造り、領土を守る

2003年4月から夏にかけて、ワールドウォーIIオンライン(MMO……なんだろ。FPS?)のプレイヤーが流入。

初期の移住者は作戦会議場として使用。基本オトナだったので、問題なく移住。
が、イラク戦が泥沼化→WWIIオンラインが政治ネタで荒れまくる→攻撃的な第二陣が移住。
・またーり地方に軍オタ系コンテンツがゴリゴリ作られるのにキレた先住者(リアルではカナダで反戦活動やってる…)が高さ50mの壁で覆う。
・手軽に使えることから郊外としてまたーりやってたコンバットゾーンでWWIIオンライン出身者が大暴れ
 →住民は自宅を死亡時の帰還ポイントにしていたため、無限KILL状態

リンデンの対応

・WWIIプレイヤー3名をバン
・土地の区分けを変更。4SIM分あったコンバットゾーンを1つに縮小。

その後

サイバーパンク系グループとWWIIオンライン出身者の抗争
 →武器と防具関連アイテムの発達
ハビタット構築に関与したランディ・ファーマーが、こういう仕様にしとくとコミュニティ崩壊しちゃうのよねーとか言いながら、防御不可能な大量破壊兵器を作成して関係者全員皆殺しとかネタでやってたらすい。
 →さらに極悪仕様の大量破壊兵器は作られたけれど、SIM落とし系は使ったらFBIに通報すること以外は、ユーザーの創造性を制限する可能性が高いということでそのままに。
・WWII出身者は隔離される方向で、外部からおちょくりに入って来て殺して戦闘禁止地域に逃げる&追撃するとアカ停止とか…みたいな感じで閉塞感。
#このへん、UOのPKer、PKKer文化に似たものが。個人的な体験では、概してPKKerの方が腹黒かったですが。
・ブッシュのイラク戦略をめぐって反戦メッセージとか貼ったりその上に戦争メッセージ貼ったりと文化闘争。
 →あるユーザーが、奴隷制を想起させる南部連合軍の軍旗を貼って、さすがにこりゃいかんとリンデン介入、その場所でのポスター貼り禁止に。
 →ユーザーグループ間でも手打ち。
 →結局、SIMが増えて拡張されていく過程で人々が分散し、やりたい人同士が戦う、ということに。その遊びの中でのコミュニティスタンダード違反が通報されることは基本ナイ。

こうした事態をどうとらえるのか

ユーザーのいくつかの意見。
・多様性によって文化を豊かにする可能性
・政治的な態度表明とかごちゃごちゃはリアルでやるべき

初期のSLは平和主義的ユートピア風味な場。そこに文化的に不快と感じる人もいる戦争の要素が持ち込まれることで、「セカンドライフとはどういう世界であるはずなのかという問題について大きな衝突が起きた」(p.156)

#ねとわく上の小文化集団というか部族の移住で衝突が生じることは稀によくあるです。例:PCベース、ギーク文化寄りでやってたIRCへのドリキャスユーザーの流入。UIの違い、文化圏の違いなど諸々で結局ドリキャスは多くの排除されることに…

8章:バーニング・ダウン・ザ・ハウス

2003年7月、商用提供開始

当初の仕様は、
・月額料金を払うと、一定のL$、土地、プリムが配分される形式。
 プリムを制限を越えて使うと課金される。
→多くのプロジェクトが資金難でにっちもさっちもいかないことに。
ボストン茶会事件風味に、大規模デモ。茶箱で埋め尽くされる。
そして、有料会員が伸びない…

ビジネスモデルの変更。現在の姿へ(日付不明(2003年内?))

レッシグクリエイティブ・コモンズ創始者ローレンス・レッシグ - Wikipedia)、ジュリアン・ディベル(ジャーナリスト)、カストロノヴァ(仮想経済学者)のアドバイスにより、
レッシグ:「あなたの世界、あなたの創造力」をスローガンにするならその通りにすればいいんじゃね!?

・仮想土地の販売と管理費の徴収
・リンデンドルの米ドルとの交換
・ユーザーコンテンツの著作権はユーザーに帰属することを規約に明記

※一般的なMMOサービスだと、課金はキャラクターあるいはアイテム単位、RMT禁止、ゲーム内資産の所有権?は認められない
※なんでそうなっているかというと、「資産」として認めてしまうと、ゲーム内資産の保全の義務とか、所得税・贈与税・相続税が発生する可能性が出て来て、とにかく強烈にめんどくさくなるから。求められる安全性のレベルも跳ね上がるし、国の統制が入る可能性が高くなるし。
※例:現実通貨やポイントサービスと交換できるゲーム内通貨が不正に大増殖されたらどうなるか? 例:中国のQ幣をめぐる騒動。
※このへんのコストとリスクをリンデンがどう考えていたのかは謎すぎる……
※というわけで、知的所有権保護の仕組みについてはあんまり詰めて考えてなかったわけですな…
※というわけで、著作権侵害については個別DCMAで裁判起こしてね(はぁと)仕様に。
※日本のクリエイターがブラジルのパクリ屋をサンフランシスコで訴えるとか無理wwwサポシwww

案の定コピーボット騒動(2006年末)

・リンデンから公認を貰って改訂版実験のためリバースエンジニアリングを行った「リブセカンドライフ」がbotを開発。他のアバターをコピーする機能つき。
・オフライんのデバックツールとして、コピーした情報を保存するタイプも開発…んで一般に公開されたディレクトリに置いていた
→当然出回るよね!基本だよね!
←リンデンのぐだぐだ対応(訓練された広報いないのかにゃ…ありえないにゃ……)
→リンデンの対応はもうなれっこにゃ...というわけで、実質コミュニティ内の自浄任せ。パクリ店情報はブログとかで速攻出回ってボイコット。稀に誤爆もありそげだけど。

9章:起業家としてのアバター

2003年秋:ビジネスモデルの転回

2/3の社員をリストラ
月額課金モデルではなく、力強い経済システムを構築してSL内を成長させ、仮想不動産に住むための料金を徴収するスタイルへ
←アメリカで景気後退期だったこと、戦争があったことから高いスキルを持つ人々がコンテンツ作成頑張る

2004年春

フー:田舎に住む傷痍軍人
→仮想土地投機ごっこを始めたら、思いのほかリアル就職がしんどくてカジノ運営などSL事業をとりあえずとっかかりにする羽目に…

2005〜2006年

さまざまなサブコミュニティの成長
住民類型(p.194)
40%:社交的ゲーマー(ナイトクラブやパーティ) ※p320にブリング系アクセを好むことから「ブリングタード」とdisられることもあるちゅー脚注あり
20%:ファッショニスタ(SL内ファッションヴィクティム)
20%:ロールプレイヤー、ファーリーなどなどのサブカルチャー
10%:いわゆるクリエイター(スクリプターを含む) ※初期参入者に多かった
10%:SL内資本家 ※リンデンに払うよりも多くのリンデンドルを得ている ※4万2000人

#この類型は現在の日本人プレイヤーでも有効?比率は?
#山田さん@メルティングドッツの読書会で振ったところ、
#・あと付け足すならExplorer(探検者)タイプも必要かな
#・MODできない人は増えている(ダイアログでサイズチェンジ商品がデファクトスタンダードに)
#・コンテンツ作成の敷居が上がってる(2007年なら有名店になれたレベルのものがそのへんにゴロゴロ)
#・しかしクリエイター10%は少な過ぎだろうjk。
#・このへん定義がむずいよねー
#・調査するとしたらどんな方法が?
# リンデンは行動分析はしてるっぽい…けど非公開。
# リンデンの調査の場合、botや放置者の活動をどう扱うか、ちょっと一段加工が必要
# slxなど外部サイトのトランザクションなどから分析するというのもアリかも
# などなど。

リンデンの決済システムが異常にめんどかったことから、土地レンタル事業が流行。
アンシェ・チャン:2006年末で100万ドル以上の土地所有。※1億円プレイヤーってこの人だっけ?

初の(いまのところ唯一の)リアルで成功したin World初コンテンツ:トリンゴ(ゲーム)対戦型パズルゲームつうか…
トリンゴの賭け金の一部が設置した土地所有者に入るフランチャイズ方式を採用。
Web版、GBA版も出る

エイミー・ウェーバー
蝶の羽+チュチュみたいなファッションアイテム販売で台頭。ピーク時は月3000〜4000米ドルの売り上げ
汚し系テクスチャ多用したリアルで退廃的なSIMを制作
2006年の始め頃、没入型広告としてSLが期待されはじめたときに、メタバースディベロッパーとして法人化する。
#この人の場合は、服買った人限定パーティとかやってるぽい(グループで制御?)。ゴージャスドレス買ってもおでかけするとこないお;;問題がSL内でもあるので、日本人クリエイターさんもぜひ挑戦してみてほすい気はする。

10章:ユートピアへの投資

※現実企業のSLへの参入
・2004年1月:最初のプライベートSIM競売
←落札者は広告代理店。反対デモが行われる。
リンデンもユーザーも、リアル企業が参入することによって、SL内文化が破壊されることへの危惧を強く持っていた
・2006年
リンデンは広告活動を受け入れる方向に
ローズデールの発言(エコノミスト誌2006年9月号でのインタビュー)
・企業コンテンツを制作するメタバースディベロッパーの登場
リバース・ラン・レッド社(最初のプライベートSIM落札した広告代理店)/エレクトロニック・シープ社(早期参入したクリエイター中心)/ミリオンズ・オブ・アス(元リンデン社員中心)
参入支援で使われた金額は100万ドル単位……が、SLのコミュニティと文化に与えた経緯は軽微
2007年なかばでも、法人は土地所有者の5%にすぎない
#ブームで見に来た人にKASO空間として印象づけた影響は大きいけどね!!
・2007年初め
リンデン発表の経済関連の数字を分析すると、住人一人あたり50米ドルから60米ドルに相当するリンデンドルを使っている計算に

メタバースにおけるマーケティング

2007年3月、ハンブルクの調査会社コミュニティが住人の意識を調査
→当然ながらボロボロ。ネット広告そのものも好意的な反応は少ないけれど、SL内広告が購買行動にプラスの影響を与えると回答した人は7%……

著者によるリアル企業失敗の分析
1)「セカンドライフ広告に対するテレポートの関係はテレビ広告に対するリモコンに等しい」
一時期、2点間テレポートじゃなくて、決まった場所にテレポートしてそこから目的地まで歩く仕様になっていたけど、結局2点間テレポートに戻した→場所広告死亡。
カオスなメインランドではなく、プライベートSIMに設置されたために「集客」「滞在時間確保」がものすっごい課題に…
※メインランドだとぷらぷら散歩して通りがかる人っていうジャンルがいるのだけれど、プライベートだとテレポで行き来するしか…。でもメインランドだと、隣がありえないくらい趣味の悪い巨大建造物をいきなり建てやがるとか問題大盛り。

2)「生死を分ける緑点」
とにかく人呼ばないと勝負にならないのに、建物作っただけで放置じゃ…せめてキャンプでもやれと。イベントやれと。

3)「想像力の欠如」
SL内文化を舐めたらいかんぜよ。

※ただの広告代理店ならまだしも、クリエイター中心のディベロッパー企業もいるんでは?連中はなに考えてたんだろう…

=(著者による)リアル企業にとってのメリット=
1)アーリーアダプターとコンテンツクリエイターへのアピール
ねとわく上でアクティブな、インフルエンサー型のユーザーが多いかも…
※いやこれ、がっつり調査してから言わないとどーなのよ…感が。SLでブログやってる人は普通のネトゲより多いのかも?感はないでもないですが。

2)継続的な双方向体験
2003年:アン・シュロサー教授@ワシントン大の実験
デジカメの機能を静止画+動画で紹介した場合と、双方向性の仮想世界でカメラのシミュレーションを行うと、後者の方が機能の理解、購買意欲も高くなる(が、虚偽記憶も増える)
→深いインパクトを与える可能性

3)身軽なプロトタイプ作成と研究開発
リアルタイムのコンテンツ作成を活用した諸々。
事例:『銀河ヒッチハックガイド』のキャラクターを作成し、ポスターや動画など広告のモックアップを展開。遠隔地にいるクライアントや映画製作スタッフが共有&イメージすりあわせ

メタバースコンサルタント(笑)としての著者の意見=
コミュニティを作る/奇妙さを受け入れる/メタバースブランドを活用する/マイクロ通貨を活用する/ベテランから学ぶ(あるいは雇う)

事例:ジーナ・フェプレイ(p.229)
マズロー欲求段階説をSLに当てはめ、ナイトクラブ「ジ・エッジ」を構築+運営。
生活保護を受けつつ二人の子供を抱えて看護学校に通っていたが、平均月5000ドルの収益をあげるように。
セカンドライフでも人々は、基本的欲求が満足されないと成長できないの。現実世界なら安全と食料が必要よね。ここセカンドライフでは所属とご褒美」(p.229)
「現実世界でどのようなスキルを持っていても、このゲームに参加した当初は、全員、『ヌーブ』ってことになるでしょう? まず、自分は歓迎されていると感じられる必要があるの。自分の居場所だと思える場所が見つかって初めて、何かをしようという気になるのだから」(p.229)
「みんな、まず居場所を探すわ。知り合いを増やすの。現実にもあること、自分に関係があると思えることをゲーム内で見つけるの」(p.230)
「所属の欲求が満足されたら、新しいことに挑戦ね。自宅の家具を作るとか。(略)そのあとは、だんだんと高い欲求段階、高いスキルに向かって歩いていくわ」(p.230)
「ソーシャルプレイヤーと呼ばれる人たちがたくさんいるけど、あれは必要だからなのよ。彼らがいなければクラブもモールも、お店もなりたたないでしょう? お買い物を楽しむのはソーシャルプレイヤーですからね。」
#このへんは野島本超参照のことアルヨ。
#非クリエイターな「消費者」的な遊び方をしている人が超重要ということを昔ここに書いた覚えがあるんだけど、どこだったか思い出せないくぽ…

11章:法がコード

#SL内での政治&思想表現ともろもろ。

2007年初め
フランス極右政党「国民戦線党」がSL内に支部建設
→もの凄い勢いで反対運動。ほとんど鯖死亡の勢い。
Webサイトならスルーするけれど、SL内だと拒否感が強くなるのかも。
#「同じ空間」を共有しているから? 自分の領域が侵害された、と感じる区分けの問題?

2007年6月
ペドコンテンツは明確に禁止。
←EUに鯖を配置する計画があり、ドイツの児童ポルノ関連法に従ったものと思われる。

2006年春
ベターワールド:NPO団体が設置したダルフール難民キャンプを再現。
物品がロックされていなかったことから、大荒れ
←スーパーヒーローのRPをやっていたグループが流れで警備することに

12章:世界をよくする

#なんらかの障碍を持つ人々へのエンパワーメントの場としてのSL
アスペルガー症候群
 ボイチャはあるものの、文字チャットが基本であるために、アスペルガー症候群の人々が苦手なノンバーバルな「空気を読む」ことが要求されないために、スムーズなコミュニケーションができる
・身体障害者
ケアセンターにいる重度障害者9名のグループが介護者を通じてチャットをしたりアイテムを制作するなどの活動をしている事例
#そういや昔、PSO(2000年〜)の掲示板で、聴覚障害者の人が「初めてハンデなしに友達が作れることができたーよ、ありがとー!」という書き込みされていた記憶。
#なんか聴覚障害者の方でSL内で障害者支援と結びつけた活動してる人も関西の方にいるとかなんとか。

統合失調症の疑似体験施設。
バーチャルハルシネーション・ビル(カリフォルニア大デービス校医学部)
患者に関わる人、精神病を研究する人の理解を助ける

→没入型だからこそ得られる深い経験をリアルに活かせる可能性

13章:融合

#今後をにらにらと妄想の章

1)頭打ちになる
2)ニッチの王になる
3)メタバースを選択する時代になる
4)セカンドライフオペレーティングシステムになる
5)オープンメタバースが実現
#………自分としては、向こう3年スパンなら1あるいは2かな……

あとがき

セカンドライフは消費主義か?
2007年8月の統計(p.305-306)
アクティブな住人:60万人
リンデンドルを使った人:30万4499人
購入者のうち13万1000人が500L$以下
月1万L$使ったユーザーは6万人

・SF界の反応
 ギブソン:お忍びでログインしてみたら流れで超へんな格好になってみんなにバカにされたお;;
 ニール・スティーブンスンはいまだアクセスしたことがない…

などなど。

めも子の感想

・もともと「メタバース」を目指してたわけじゃなかった…というのはぶたまげた
 ある意味、それで現在の仕様やらなにやらが非常に納得できる。でも納得したくなかったおwww

・2006〜2007年のSLブームは外から勝手にやってきたっぽい…
 いんやー、広報担当者がアホで、人が食いつきやすいわかりやすい説明やっちゃって、アーリーアダプターの次へんを受け入れる準備が全然できてないのにあんな騒ぎになっちゃったのか…と思ってたら、コントロールできないところでやられちゃったみたい、と。
 初期アバを複数から選択できるようになったのが2007年春だったと思うんですが、ちょーっとね〜……このへんが出来てから「ブーム」になればよかったなーっていうか後手後手すぎるだろうjkというか……
 まあ、カオス確定なサービスを今から始める勇者はいないと思うんで、こういうのがスキな人にはキラーコンテンツではあるということで…がんば〜……

=主要な機能実装時期=
・2003年4月
βテスト開始
・2003年7月
商用提供開始(月額課金制)
・2003年おわりごろ?
土地課金制に変更
・2004年1月
最初のプライベートSIM競売
・2004年
カスタムアニメーション実装
・2006年はじめ
広告業界を中心のブームが始まる
・2007年6月
ボイスチャット実装
 だがしかし70%のユーザーが利用せず
ペドコンテンツ禁止
・2007年7月
賭博禁止