そうだ、真にインタラクティブな『黒死館殺人事件』が読みたかったんだ。
例によって伊藤先生のネタ帖から。ヘンリー・ジェンキンス。"Game Design as Narrative Architecture"の概要紹介されてマス。
■Henry Jenkins, "Game Design as Narrative Architecture" - Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
Jenkinsのこの論文は、ナラティブということを捉えなおすことによって、ludologyとnarratologyの間の中間地点を見出そうとするものである。Ludologyと narratologyとの対立は、結局のところ、ストーリーとインタラクティヴィティが背反的だという前提から来ている。物語が優位を占めれば、ゲームの特徴である、ユーザーからのインタラクションの要素が減少し、逆にインタラクションが優位を占めて、自由度が高くなれば、物語として成立しなくなる。Jenkinsが主張するのは、このような前提のさらに前提としてあるのは、物語が直線的で一本道の融通のきかないものでしかないという、ナラティブについての限定された考え方だということになる。それに対してJenkinsが指摘するのは、空間的な物語であり、環境によるストーリーテリングである。Jenkinsはゲームデザイナーとは物語の語り手なのではなく、ナラティブの建築家として、世界(あるいは日本の慣習に従って「世界観」と言っても良い)を彫刻するのだという。それは決してゲームに限ったことではない。例えば、トールキンの指輪物語がそうだし、SFの多くは、その世界の設定が重要な役割を果たす。そして、その作られた世界の中で、主人公が探索し、放浪し、ナラティブが作られるのである。
非一本道物語を「本」という媒体を使ってやるちゅー試みはいくつかあるので、知っている作品を比較用に挙げてみるです。たぶんジェンキンスも上げてそげですが。
- コルタサル『石けり遊び』
二通りに読める本。一つはまっすぐふつーに最初から最後まで、二つ目は細かく分けられた章をアドベンチャーブック風に指定に従って飛びながら読む。文庫版は2巻に分冊か...それやりにくくないか? 話はパリ×南米でぐだぐだしている青年のどーやらこーやらで心理小説系。なのでわりとまったりとしててぶっちゃけ2通りの読み方ができるつーてだからナニ?と思わないこともない。
- 作者: コルタサル,土岐恒二
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1995/01/20
- メディア: 文庫
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- ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』も入るかな。
表現の響き愛で全文注釈必須のアレ。いまだ完読してない。ムリ。というか、あれこそ「単語にカーソル置いたら注釈が出る」状態で電子出版してほしい。あと『グーテンベルクの銀河系』も。
どういうわけだか、メタフィクションは推理小説と非常に相性がよく(このこと自体をもうちょい考えたい気もするけど...新本格作家とか誰かやってないかな)、日本の推理小説ヲタ好み作品にはやたらめったらあります。
以降、ネタバレ含みつつやるので。