「マッドマックス 怒りのデスロード」
あちこちで高評価出てますが、普通に良かった。
「トータル・リコール」のペラッペラリメイクがトラウマになってる方にも安心してオススメできるリブート作品なんですが…
・シャーリーズ・セロンが男前すぎて惚れる
・世界観の作り込みすげぇ。というかギター男でもう大勝利
・プロットが神話的というか定型、立ったフラグは全部回収の勢いだけれど、だがそれがいいという境地。
・時間が経つのが早いのはよい映画
・客が見たいものを見せてくれるのはよい映画
・「ウォー・ボーイズ」が犠牲者扱いになってるあたり(赤毛がかばうところとか)、ISやら少年兵問題批判でもあるよね
なんですが…
途中で、ふと、コレって基本設定は、正義の娘っこ集団をクレイジーな剣豪が連れてロードムービーって意味で、山田風太郎の柳生十兵衛物じゃね?と思っちゃって、だとしたらシャーリーズ・セロンが連れて逃げるハーレムの娘っ子達がもうちょい早めにしゃんとしてくれればもっと面白かったのにナーとか思ったりはしました。
中盤終わりらへんからちらほらっとそのへんやり始めはするんですけどね。
でもさ、娘っ子どもが全員妊婦で異形化してて、異形化したことで得た能力でガチンコやったらもっと面白かったと思うの…
というわけで、誰かジョージ・ミラーに『くノ一忍法帖』の英訳版あたり送りつけるとよいと思います!
=2015/6/26追記=
と思ったのだけれど、ふと、もうちょいコレ色々考えないといけないかなと。
「フュリオサはなぜ一人で逃げなかったのか」
やろうと思えば逃げれたと思うんですよ。ていうか何度も逃げたけどダメだったっていうセリフはあるんですが、今回は逃走ルートの確保はできてたし、正直、娘っ子5人は中盤まで明らかに足手まといでいらんかったわけで、一人でも故郷までいけたと思う。大博打なのに変わりはないけど。
でも、なんでこういう話になってるかっつーと、この5人を助けたいって強く思ったから、必死で考えて根回しして最後の博打に出たんじゃないかなと。
この世界では健康な若い女=健康な子供を産めるかもしれない=未来の可能性なわけですね。この5人しか健康な若い女性は出てこない。
水よりガソリンより銃より車より貴重な財なわけで(5人とも大事にされている割には名前が固有名詞ではない)、だから、イモータン・ジョーはこの5人を独占している(ひょっとすると妊娠させることができることがイモータン・ジョーの権威の一つなのかもしれないけど。この世界じゃ生殖能力残ってる男も貴重な予感がする)。そんで、この娘っこらが身体張ってかばうと、銃で撃つことはできなくなる。
だから、フュリオサの地元の人らも、5人の娘がやってきて、今までかつかつ現状維持はできてたけど、一緒に新天地求めようって話になる。
ヒャッハーな世界でも、生き延びたいと思う。自分が生き延びたいと思うだけでなくて、ただ糞して死ぬだけじゃない「なにか」をしたいと思ってしまう。
これはウォー・ボーイズにしたってそうで、ニュークスなんかももうじき病死してしまう、でも最後に一花咲かせたいでめちゃくちゃやるわけですよ開幕死亡フラグ立ってるけど。
そんでイモータン・ジョーは、ただ水源おさえてるだけじゃなくて、ヒャッハー世界のちびっこに生きる道を示すことで強い権力を持っていると。
ヒャッハー世界が承認欲求で動いてるとかこれなんて地獄?とも思うけれど、結局アレって人が人であるための業やから…
ただこれ「砦」の水源は無限ではないはずで、種もみBBAの残した種とかで色々やってくにしても、無制限に人を受け入れることはできない。受け入れることができないなら、誰を受け入れて誰を受け入れないかで権力が発生し、闘争が発生してしまうわけで、水源、今後どうするんですかね…
イモータン・ジョーの承認を結びつけた圧倒的な支配の仕方は、ある意味王道というか鉄板路線だっただけに、それをナシにして水源管理ができるのかどうかっていうとちょっと怖いところがあって、結局フェリオサがダークサイドに堕ちてしまいそうな予感がせんこともない。これで終わりだったらいいけど、新三部作の頭やからね…
そして『マッドマックス』で互いに承認しあう関係が完全に忌避すべきタブーになっちゃってるマックスは救われる日が来るのか…
あまりに気の毒なんで新三部作の最後のへんでなんとかしてあげてつかあさい…
つうか、暴走族ネタのバイオレンス映画だった『マッドマックス』からしたら、なんでこんな遠くまで来てしまったんでしょうか。人生わけがわかりません。