仕事用のめもとか。

メディア等気になることを適当に。

『ことばとマーケティング』

アマゾンでたまたまめっけて発注。

マーケティング専攻の方だけど、相当に社会学寄りというかほぼ文化社会学じゃ…というか、マーケティング論との境界線がわからなくなる。

ネタが鉄板で面白い上に、新聞・雑誌の言説分析+内容分析に、事例てんこもり、おまけでマズロー解説もついてて、こんなコスパのいい本ちょっと思いつかない勢い…

ええ本買ったで!

ことばとマーケティング―「癒し」ブームの消費社会史 (碩学叢書)

ことばとマーケティング―「癒し」ブームの消費社会史 (碩学叢書)

 

 

ことばとマーケティング:「癒し」ブームの消費社会史 松井 剛(著) | 碩学舎

=目次=

第I部 背景:「癒し」ブームとは何か

 

第1章 問題の所在

1.1 基本的な問い

1.1.1 「広辞苑」に採録されたことは「癒し系」

1.1.2 「癒し」の世俗化

1.1.3 ニーズ起点の説明で捉えきれない「癒し」ブーム

1.2 本書の着地点

1.3 「ゼロ時代」の空気としての「癒し」

1.4 本書の構成

第2章 「癒し」を求める世相の形成:自己表現から自己憐憫への消費者観の転換

2.1「消費者は王様」:戦後日本におけるマーケティングの導入

2.1.1 マーケティング・コンセプト

2.1.2 日本生産性本部の設立とマネジリアル・マーケティングの組織的導入

2.1.3 マーケティング・ブーム

2.2 バブル崩壊まで:進歩史観に基づく主体的な消費者像

2.2.1 進歩史観的消費論の連続性

2.2.2 消費論ブーム前史:「生活者」の誕生

2.2.3 「少衆論」と「分衆論」

2.2.4 大衆社会論への拡大

2.2.5 ボードリヤールの1980年代的換骨奪胎

2.2.6 進歩史観に基づく消費論とマーケティング・コンセプト

2.3 バブル崩壊以降:「癒し」を求める受動的な消費者像

2.3.1 「癒し」ニーズを生み出したとされる背景:マクロ指標の確認

2.3.2 「格差社会」における希望の喪失

2.4 まとめ:残された問い

第II部 理論:「癒し」ブームをどのように捉えるのか

 

第3章 理論枠組み:言説と行動と意味の3項関係

3.1 流行やブームに関する既存研究:消費者間相互作用への注目

3.2 新制度派の社会学:模倣的同型化と理屈づけ

3.2.1 模倣的同型化

3.2.2 正当性確立における理屈づけの役割

3.3 文化社会学:意味形成プロセスへの着目

3.3.1 文化の生産

3.3.2 分類という認知枠組み

3.3.3 分類をめぐるポリティクス

3.3.4 現実の社会的構築

3.3.5 分類をめぐる分析枠組み

3.4 構造の二重性

3.4.1 流行語にみることばとマーケティングの相互作用

3.4.2 ことばが持つ役割

3.4.3 構造の二重性としてのことばとマーケティングの相互作用

3.5 まとめ:言説と行動と意味の3項関係

第4章 データと分析方法

4.1 データ

4.1.1 新聞記事

4.1.2 「癒し」関連書籍の書誌情報

4.1.3 雑誌記事タイトル

4.2 分析技法:言説分析・事例分析・内容分析

4.2.1 言説(第III部):メディアに現れたブーム解釈の言説分析

4.2.2 行動(第IV部):各産業におけるマーケティング行動の事例分析

4.2.3 意味(第V部):雑誌記事タイトルの内容分析

4.3 まとめ

第III部 言説:「癒し」ブームはどのように語られてきたのか

 

第5章 「癒し」ブームの発展略史

5.1 「癒し」ブームのライフサイクル:分析期間と4つの時期

5.2 第I期(黎明期):「ヒーリング」をめぐる零細ビジネス(1988〜1994年)

5.3 第II期(導入期):大企業の参入(1995〜1998年)

5.4 第III期(成長期):ブームの急発展(1999〜2002年)

5.4.1 1999年

5.4.2 2000年

5.4.3 2001年

5.4.4 2002年

5.5 第IV期(成熟期):ブームの定着(2003〜2007年)

5.5.1 女性向けのスパサービス

5.5.2 百貨店など集客施設

5.5.3 その他

5.6 まとめ

第6章 「時代のキーワード」としての「癒し」

6.1 「トレンド」としての「癒し」

6.2 1999年:「新語・流行語大賞」と「ヒット商品番付

6.3 説明図式としての「癒し」:コント番組からパチンコまで

6.4 「癒し」ブームへの揶揄と嫌悪感

6.5 ブームの終焉についての予測:新たなキーワード「励まし系」の発見

6.6 まとめ:賛否両論がもたらすフレーミング

第IV部 行動:「癒し」をめぐる模倣はどのようにして起こったのか

 

第7章 出版業界:医学と心理から音楽へ

7.1 基本的な傾向

7.2 日本十進分類法から見た「癒し」をめぐる書籍の多様化

7.3 「癒し」系音楽の楽譜出版

7.4 まとめ

第8章 音楽業界:コンピレーションCDの流行

8.1 独立レーベルによる輸入CD

8.2 大手レコード会社によるクラシック音楽の販売強化

8.3 1999年:坂本龍一「energy flow」の大ヒット

8.4 「癒し」系コンピレーションCD市場の形成

8.4.1 『〜the most relaxing〜 feel』

8.4.2 『image』

8.5 当事者が意図しなかった「癒し系」という分類

8.6 まとめ

第9章 観光業界:企業需要の低下からの活路としての「癒し」

9.1 シティーホテルにおける「癒し」宿泊プランの流行

9.2 地方ホテル・旅館への波及

9.2.1 「癒し」を通じたリニューアル

9.2.2 個人客開拓の手段としての「癒し」

9.3 テーマパークのリポジショニング

9.3.1 スパリゾートハワイアンズ

9.3.2 ハウステンボス

9.4 まとめ

第10章 玩具業界:大人のためのキャラクター市場の開拓

10.1 「癒し系」キャラの誕生:たれぱんだ

10.2 タカラトミー

10.2.1 トミー:のほほん族ひだまりの民

10.2.2 タカラ:動物や植物をモチーフとする玩具の開発

10.2.3 タカラトミー

10.3 バンダイプリモプエル

10.4 セガトイズ:夢ねこスマイル

10.5 「癒し」要素の組み合わせによるキャラクター開発

10.5.1 リラックマサンエックス

10.5.2 お茶犬(セガトイズホリプロ

10.5.3 温泉くまちゃん(セガ

10.6 まとめ

第11章 観光とまちづくり:「癒し」を通じた観光資源の再解釈

11.1 北海道地方:産官学連携による健康ツアー

11.2 東北地方:森林セラピー

11.3 関東地方:産業再生機構の支援による伝統的観光地のリニューアル

11.4 中部地方:「癒しの県」としての山梨

11.5 四国地方:遍路と「癒しの四国」キャンペーン

11.6 まとめ

第V部 意味:「癒し」はどのようにして世俗化したのか

 

第12章 雑誌記事タイトルの内容分析:「癒し」の世俗化

12.1 データの詳細

12.2 「癒し」関連記事の急増と多様化

12.3 7つの発見事実

12.3.1 「癒し」の「やまとことば」化

12.3.2 転成名詞「癒し」の普及

12.3.3 「癒されたい」という受け身表現の普及

12.3.4 「癒し系」の台頭と衰退

12.3.5 コロケーションに見る女が男を癒すという図式

12.3.6 「癒し」に見られる意味の多様性

12.3.7 「癒し」の世俗化

12.4 まとめ:共有された認知の3つの変化

第13章 社会タイプとしての「癒し系」

13.1 社会タイプとは

13.2 データの詳細

13.3 3つの発見事実

13.3.1 「癒し系」としての女性

13.3.2 「癒し系」のライフサイクルと世代交代

13.3.3 ジェンダーによる「癒し系」の違い

13.4 まとめ:社会タイプとしての著名人

第VI部 解釈:なぜ「癒し」ブームが起こったのか

 

第14章 道具箱としての「癒し」

14.1 分析の要約:言説・行動・意味

14.1.1 第III部:言説:何が語られてきたのか

14.1.2 第IV部:行動:どのようにして模倣が起こったのか

14.1.3 第V部:意味:「癒し」はどのようにして世俗化したのか

14.1.4 主要な発見事実

14.2 構造の二重性における「理屈づけ」の役割

14.3 「道具箱」としての「癒し」

14.4 まとめ:言葉のお守り的使用法?

第15章 社会理論における消費社会観

15.1 消費社会観の4類型

15.2 文化の画一化

15.2.1 文化産業

15.2.2 「本当の欲求」と「誤った欲求」

15.2.3 マーケティング的性格

15.2.4 評価

15.3 消費者欲求の操作

15.3.1 モチベーション・リサーチと計画的陳腐化

15.3.2 依存効果

15.3.3 評価

15.4 社会システムが持つ構造的圧力

15.4.1 構造的に押しつけられた欲求

15.4.2 マクドナルド化という鉄の檻

15.4.3 記号体系による支配

15.4.4 評価

15.5 競合的消費

15.5.1 見せびらかしの消費

15.5.2 準拠集団がもたらす見栄の張り合い

15.5.3 評価

15.6 まとめ

第16章 結論:創造的適応としてのブーム

16.1 競争的使用価値と創造的適応

16.1.1 商業経済論とマクロ・マーケティング

16.1.2 競争的使用価値

16.1.3 創造的適応

16.1.4 相違点と共通点

16.2 結論:3つの創造的適応

16.3 議論

16.3.1 本書の貢献

16.3.2 本書の限界と今後の課題

付録A マズローの欲求階層理論とマーケティング・コンセプト

A.1 はじめに

A.2 マズローの欲求階層理論

A.2.1 ヒューマニスティック心理学

A.2.2 欲求の階層

A.3 マズローの欲求階層理論への批判

A.3.1 実証に関する批判

A.3.2 理論枠組みに関する批判

A.4 マーケティング論における欲求階層理論の受容

A.5 欲求階層理論とマーケティング・コンセプトの親和性

A.6 おわりに

付録B 新聞記事・雑誌記事タイトルの検索方法

付録C 雑誌記事タイトルのデータについての詳細

C.1 検索およびデータ処理手順

C.2 雑誌ジャンル

付録D 「癒し」ブーム年表