仕事用のめもとか。

メディア等気になることを適当に。

『パシフィック・リム』見に行きました。

 公式サイト

事前のネット評チラ見した範囲では、

・脚本・設定に難あり

・だが特撮愛に溢れてる

て感じだったんですが、本当に素晴らしかった。

設定別に全然いいじゃん! 怪獣の設定に深みがないとかロボットの操縦方法がアレだとかなんとかごちゃごちゃ読んだ気がするけど、アンタ今まで人生で不条理な目に一度も合ったことないの!?て聞きたい。マジで。不条理は勝手に襲ってくるんだよ!! ほんで有り物でなんとかしてたらわっけわかんない方向に転がってくもんじゃん!!私の人生そんなんばっかだよ!!(半ギレ)

 

…というのはとにかく、デル・トロ作品は、「ヘルボーイ」2作をBDで見て

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そっちはあんま引っかからなかったんですけど、「パンズ・ラビリンス」で思いっきりひっかかり、

自分の中では「監督作出たらとりあえず見に行く枠」入りしてたんですが、「次回以降クソ映画が続いても、3作までは許すんでとっとと次撮ってください♥枠」入りです。今のところこの枠はノーランとプロムカンプ入ってるんですが、ノーランは『ダークナイト・ライジング』で既に黒星一つ、プロムカンプは『エリジウム』が、なんつーか『トータル・リコール』リメイク版みたいに、格差ディストピア物のクリーシェにいっちゃってそうでドキハラですが…トレーラーを見るにつけ、『第9地区』は確かに素晴らしかったけど、全然違う物撮った方がよかったんじゃないか感…

 

なにはともあれ映画館で見てよかったけど、これはIMAXの2D、左右真ん中、上下真ん中席で見たかったです。公開してすぐ行けばよかった…

 

『バトルシップ』という、すっげーどうでもいいアメリカ青春軍隊映画のお約束をなぞる儀式(金主納得させるためなんですかね、あれは…)と、「戦艦ミズーリで、東郷ターンキメて敵撃破する」というクライマックスのために、ちょっとかばいようがない設定&展開になっちゃって、色々盛り上げようと努力してることはわかるんだけどいかんともしがたいクソ映画があるのです。131分のうち、東郷ターンの1分(動かすところから入れると4分くらいだっけ…いやほんとあっという間…)のために130分を許すか許さないかという映画なんですよ。結局。

で、私は130分許します。だってミズーリが東郷ターン決めるんだもん。見たいやん。しゃーないやん。ほんっとにクソ映画だけど。

で、『パシフィック・リム』もほぼ同じ長さの132分なんですけど、体感で行ったら、120分くらい東郷ターンやってる感じ。実際にはそこまで戦闘場面ばっかじゃないですけど、脳汁の出方的にはそんくらいいってる。

 

パシフィック・リム』は完璧な映画*1じゃないです。ナード枠パートがダルいっちゃダルいし、設定なんか突っ込もうと思えばなんぼでも突っ込める。特撮詳しい人が見たら、色々気になってイライラしちゃうのかもしれない。

けど、B級モンスターパニック映画みたいに、突っ込んで楽しくなれる映画では全然ないので、突っ込みたくなる自分を忘れた方がいいのです。私は開始2分で忘れた。

 

映画って、「客の見たいものをちゃんと作れている」のが良い映画だと思うんですよ。

例1)「メガシャークvs.ジャイアント・オクトパス」

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※B級モンスターパニック。アホな絵、アホな脚本、途中でスケール感がわけわかんなくなることも含めて、この種の映画が好きな人間が見たがってる絵がてんこもり。素晴らしい。欠点があるとしたら、イカじゃなくてタコ使ってることくらい。イカだったら頭突き攻撃できるやん! ごっつい空母に頭突きして穴開けたりとかできるやん!

例2)「ナイト&デイ」

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※「ナイト&デイ」はハリウッド大作アクション映画的なるものと、トム・クルーズキャメロン・ディアスのこれまでの役者人生を巧いこと組み合わせて、イヤミにならん程度にネタ入れつつがっつり金かけて作ったウェルメイドな映画で、脚本もほんとにいい(アラフォー心に刺さりすぎや…「Someday」て曲もすごくいいし)「メガシャーク」と同列に語るのは、非常に申し訳ないんですが、どっちも大好き。

 

このリストに、ヴィスコンティ『山猫』だったり、黒澤『椿三十朗』だったり色々並べていけはするんですが、その上に「見たいとか思ってなかったっていうか、そんなものがこの世に存在しうると思ってなかったけど、ほんとは自分はコレが見たかったんだ」って衝撃を受ける映画っていうのがあると思うのです。

これは、「なにをどういう風に見てきたか」とか、人生のどういうステージで見たかとか、色々あるんで、狙って作れるものではないと思うんですが、自分の場合で言えば鈴木清順『ツィゴイネルワイゼン』だったり、『不思議惑星キン・ザ・ザ』だったり、トリアー『メランコリア』だったり…かな。

人生がどーとか絡んでくるような作品ではないんですが、「なんかわけわからんけど、『パンズ・ラビリンス』の監督なら一応いっとくか…」程度で行ってみた自分にとっては、巨大ロボと怪獣のバトルでここまで大興奮とか本当に想定外で、吹っ飛んだ世界に引きこむ力が尋常でなく強いというかなんというか。

巨大ロボットの量感、メカニカルの描写、なのかなぁ…

ちょっとまだ興奮しすぎて自分の中で整理ついてないですけど、CGの巨大ロボット物だと、まず『トランスフォーマー』とかですけど、あれと比べると、『パシフィック・リム』のイェーガーは「すっごく重そうに見える」。

神は細部に宿る的な稠密さが、なんかの閾値を超えちゃってるのかな、とか思います。なんだこれ…

 

あーあと、不条理な世の中に稀にある奇跡によって、どなたかデル・トロに会ったら「アンタ山田風太郎魔界転生』読んだことあるでしょ!?」って突っ込んでください。ラストシーンのアレとしか思えないアレで、声出そうになった。

*1:そいや完璧な映画ってなんじゃろってつらつら思い返して、『ジュラシック・パーク』思い出した。あれはほんとに無駄もなく説明不足もなくで凄い。CGこれだけ発達しちゃうと、恐竜の絵が古く見えちゃうのはしゃーないけど、恐竜出てくる最初の、テーマ曲のかぶさりっぷりが脳汁だらだら出るんで、逆にどんなに古く見えるようになってもノーカンという凄いことやってる。