仕事用のめもとか。

メディア等気になることを適当に。

「サロゲート」(大バレあり)

サロゲート [Blu-ray]

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『アバター』と同じく、不思議テクノロジーによってリアルに存在する分身(アバター)を操作できる世界の映画「サロゲート」を見てきました。
『アバター』の場合は主人公が脳筋設定なこともあって、アバターと中の人の複雑怪奇な関係の描写は通り一遍しかされてないですが、こちらはもちょっと(というかかなり)入念にされてます。
細かく演出がされていて色々面白かったです。
どうしても映画館でみないといけないタイプの映画でもないんですが、普通に近未来サスペンス映画としても面白かったですし、中のヒトと分身の関係とかに興味のある方だったら是非是非です。
以後、かなりバレも含みますが、自分として気になった描写をめもめも。

基本仕様

・謎の脳波を測定してるっぽいベッドに横になって、目の上になんかのっけてたぶん眼球運動とか測定しつつ遠隔操作するタイプ。
なので、中の人はベッド置いた自室に引きこもりで、どんどこメタボ&ボサボサ化。おされもサロゲートにはするけど自分にはしなくなるぽいです。
中の人のトイレとかは普通にリアルで動いてすませる場合もあり、なんかおむつっぽいものをしてる?場面もありました。ボトラーとか普通にそのへんいそうな悪寒がする。ていうかめんどくさいからトイレ改造してベッド入れる奴とか絶対いるに違いない。
サロゲート自体は金属ボディにシリコンかぶせた感じ。
主人公の妻がサロゲート用の美容院的なものをやっていて、シリコンをぺろんとはがして顔パーツの間の隙間をしょりしょりしてメンテしたりする場面もありました。

・金のあるなしでサロゲートのリアルさが違ったりするっぽい
最初のほうの場面ですが、生身としかみえない大富豪のサロゲートに対して、運転手はもろにマネキン。
このへんは皮の材質、表情筋エミュレートのグレードとかそのへんの違いかな。

・デブハゲ親父が美人ビッチサロゲートを操ったりする例もあるものの、多くの人は「自分が若いとき」に似せたものにしてるっぽい。
そーいうわけで、ウィリスのサロゲートはズラ乗せてちょっと肌がぬっぺりした感じに演出…
サロゲート開発者の大富豪は、子供〜青年といろんな年代の複数のサロゲートを所有。どんだけ自分大好きなんだ。
ウィリスの嫁、上司、同僚などなど、サロゲートと中の人が両方出てくるヒトが何人かいるんですが、自分との似せ方(あるいは変えてるとこ)をみてくと色々興味深いです。

・どんくらいサロゲートの感覚はフィードバックされるの?
ちょっとここの部分、いまいちわかりませんでした。ナンパ>いちゃこらしようとする場面もあるんですが。
ウィリスの嫁が友達を呼んでパーティしている場面があるんですが、謎のびりびり棒をサロゲート同士でお互いに当てあってキャッキャ言いながら遊んでいる描写が。
電気くらって皮膚の下の金属骨格が輝くのが透けて見えたりとか。
リアルでくすぐりあいこするような感じかな。
なんとなく、実際の皮膚感覚まで完全に再現できないからそーいうちょっと悪趣味な遊びが生まれてるよーな印象を受けました。

サロゲートと中の人/「肉体」

サロゲートの共有は法的に禁じられている設定
ここはなくても成り立つ話だと思うんですが、そういう設定に。
もっとも、共有アリとしたら色々もれちゃいかん情報がぐっちゃんぐっちゃんに錯綜しちゃうのは確定的に明らかなわけで、ある意味「サロゲートを許容した社会」のリアリティが増してるように思いました。

・中の人を勝手に覗くのは夫婦間でも非礼?
ウィリスは嫁本人ともっと会いたいという不満もってるんですが、嫁は毎日サロゲート同士で会ってるんだからええやないの派。
でも同じマンションに住んでるんで、ドア開けばすむ話なんですが、ブルース・ウィリスなのにそれはやらない。
それをやったら本気で夫婦関係終了の確かな予感があるのかもですが、フツーの生活でもトイレ勝手にこじあけたりはしないわけで、「生身」がそういうエチケットで視線に入らないように排除しないといけないアブジェクションになっちゃってるのかも。
ウィリス中の人と台所でばったり出くわした嫁サロゲートは、なんというか思春期の娘がパパのトランクス一丁姿に出くわしたよーな困惑をみせたりしてました。
テクノロジーとの融合が進んでいくと、生身が粗野だという感覚が生まれてくることは、『ニューロマンサー』からよく描写されるところではあります。

サロゲートをあえて使わない人
FBI技術オタ部のピザな人。スナック菓子ばりぼりしながらコンピュータに張り付いてるスーパーハカー的なよくある脇役タイプですね。「ジュラシック・パーク」のMac使いとか。
このヒト、他人のサロゲートは尊重しているし、軽くちょっかいかけようともしますが、本人は俺は俺大好きだからイラネで使用せず。周りのヒトがいらいら。
もともと見た目を気にしない人っぽい描写でした。

・反サロゲート
主導者はラスタファリアン方向。
で、サロゲートは偽者の人間だとして、サロゲート立ち入り禁止の自治区とかを作って、勢い余ってラッダイト運動化しちゃったのか廃墟で野菜作ったり馬育てて馬車使ってたりみたいなコミュニティを。でもアメリカ人なんで散弾銃とかそのへんでバカスカ撃っちゃいますけどね。あれは「マシン」にはカウントされないっぽい。
メンバーは白人貧困層&身なりにあんまりかまわない感大盛り。

サロゲートのコミュニケーション

・「中の人」でサロゲートに対するときと、サロゲート使ってサロゲートに対するのは違う
中の人の方のウィリスが久々におんもにおでかけする場面があるのですが、びゅんびゅん歩道を歩いてくるサロゲートにくらくらして身動きとれないことに。
サロゲートを使ってるときは平気で動けてたわけで、ここ面白かったです。

活用色々

・ゲーセン感漂う「戦場」の場面に噴く
つっても「敵側」は生身の可能性がありますが。
・自立歩行しない&皮膚張ってない機能限定版も
監視カメラのチェック業務を金属むき出し&上半身しかないボディにログインしてパートタイムでやるという話もあったり。
こっちの方は「中の人」ベースではなく、「端末」番号で呼んでたりしたんでシフトで交代しながら運用してるのかもしれません。

ちょっと気になった設定

・人類の98%がサロゲートを使用
これはちょっと経済的に無理ですよね・・・この系の技術諸々、本気出せばやってやれないレベルまで来てるとは思いますが、普及段階に入ったとしても高級車くらいのお値段になるでしょうし。
先進国&BRICSへんまでのホワイトカラー、および軍人や消防士など危険が伴う職業の人くらいかなー。
そのへん、経済格差がコミュニケーションスタイル格差になっちゃった社会とかで作ってもよかったんじゃないかと思います。もっとダークな世界観になりそうですが。
・そんで殺人などの犯罪が大幅減少
おんもに出てるサロゲート同士がどつきあいしても、器物損壊にしかならないので、みたいな。
詳しい説明はなかったんですが、自分の好みの人間として振舞えることで社会的ストレス大幅ダウン→犯罪減少みたいなハナシなのかもしれません。
・つか、そんな技術を受け入れるんは、あんたらやのうてうちらやわ。
阪大の石黒教授(コラム: 等身大“コピーロボット”で存在感の本質を追求する〜大阪大学 石黒 浩 教授)が冒頭に一瞬出てきたりはするんですが、基本は北米で話が回ります。
そんなんやれるとこまできたら日本が先陣切ってサロゲート化すると思うんだがナーというか、コレを実現するための技術て、日本が一番もってそうな嫌な予感が。
少子高齢化だって、移民を受け入れるより介護ロボットで乗り切りそうな気がしてなりません。

=2010/4/4追記=
石黒教授のコメントがあった。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/100119/tnr1001190757003-n1.htm