仕事用のめもとか。

メディア等気になることを適当に。

『アバター』2D版を見た

3D酔いしやすいのと諸々の事情でまずは2Dで…
一般向け商用3Dがどこまで来てるのか見てみたいんで、後日3Dでも行く予定です。

「アバター」といっても、仮想空間(笑)物ではなく、物理的に存在する肉体を操る、要するに「接続された女」(ティプトリーJr)型の話で、本来の肉体とおまけ身体との絡みをどーやるのか見たかったのですが、映像は美麗、でもそのへんはあんま描写がにぃ…という感じでした。

プロットの植民地主義感がウハーすぎる…

鬼のように金かけないと成立しない映画なんで、とにかく「わかりやすく」するしかなかったんだろうな…とは思います。
まああれだ、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」とか「ラスト・サムライ」とか「ミッション」とかとかとかあのへんの非西洋なヒトが見ると半笑いするしかない系。
絶望した!他の惑星へ航行して100人近いキャンプ張って資源採掘とか出来る時代になっても海兵隊がベネズエラとかで暴れてるらしい未来に絶望した!
・オチは……これどうなのよ……。研究者とか思弁のヒトだったら絶対gdgd悩むところだし、アバターを操作する主人公が元海兵隊って設定にしたのはコレのためだったんだろうな…うん。
ていうか海兵隊のみなさんて、映画やらドラマもろもろで脳筋的な描かれ方する係になっちゃってるのって、ほんとのとこどう思ってるんだロ… 体育会系&兵士だって人生を悩んだりするべ!普通!
※その後、米軍のステレオタイプな悪役扱いにそっちのヒトが色々不快感を表明してるとの報道アリ。

俳優その他

・クレイジーな海兵隊上がりのおっさん(スティーブン・ラング)の鉄板演技、お見事です。
・味方になってくれるおねーさんは、バイオ映画とか出てなかったっけ(最初のヤツ)…と思ってたらそうだった(ミシェル・ロドリゲス)。男前感が横溢して好きな女優さんなんですが、出て来たところで死亡フラグがピコンとめも子の中で立っちゃうのはいかんともしがたい。「アンダーワールド」でもアレだったし。というか美人なんだしたまにはもちょっと死んだりケガしなくていい映画とか出てもいいんじゃないかな…今回唯一の巨乳枠。
・シガニー様は今回は研究者役なので、みずから銃をとって海兵隊上がりどもをばったばったとなぎ倒したりはしません。が、男前です。
ゾーイ・サルダナのネイティリが素晴らしすぎる。「スタートレック」(2009)のウフーラが圧倒的な美しさと迫力で、こげな女優さんおったんか!とびっくりしたんですが、ネイティリの誇り高さとか、若い娘らしい微妙な感情の動きとか諸々、この役がこういう表現されていなかったら映画が成り立たなかったんではないかという勢い。
モーションキャプチャーで「演技」するというのはメジャーな映画だと「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラム(アンディ・サーキス)へんからだと思うんですが、見る前はこれからキャリア伸ばして行くとこ?とはいえ、既にメジャーな俳優を黒子といえば黒子なモーキャプで使うん…?て印象だったのだけれど、彼女でなければ表現出来ないものを作りたかったんだろうな&ゾーイ様の方でも、自分でなければできない表現を作り出すことができるという確信があったからやったんだろうなということで大納得。
接続された女」は絶望的に醜い、スキルも教養もなーんにも持っていない少女(P・バーク)が、神レベルに美しいけど魂のない身体(デルフィ)を魅惑的に操って大セレブに成長&大恋愛という話なんですが、バークはネイティリのアバターを与えられてもゾーイ様に勝てない悪寒がする…
外見不自由チームとしては所詮真正美人には勝たれへんのかとキーッ!でございます。

映像

・美麗すぎて言うことがない…
・「高いところから転落するんだけど、樹の枝とか諸々をクッションにしてどうにか無事に降り立つ」場面がナヴィの体術として出てくるんですが、あれどうやって撮ったんだろ…。いやまあ、どうやって撮ったかっつーと全部ですが。
・クレジット見てたらシステム開発とかデタベスチームとかの名前が異様に多くて笑った。独自開発しまくったんだろうな…

=2010/1/12追記=
その後、たまたまゼメキスの「ベオウルフ」(2007年)をBDで見たんですが…
同じく実際の俳優をスキャンして、モーキャプで撮った映画なんですが、あまりの「アバター」とのレベルの差がでかすぎてどうしていいかわからない… アンジェリーナとか出てくるんですが、生身演技>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>モーキャプ。まあ、アンジェリーナのように存在感が濃すぎる女優出したばっかりにアラが目立った感もなきにしもあらずですが。
さすがに某スクエニ映画ほどアレではないですが、表情が乏しいというかなんというか。
メイキング見たら、目尻のへんに二カ所電極つけて、眼球の動きも検出して色々やってみたお!とか言ってるんですが、全然表情がのっぺりしてる…例えばしゃべってる時に口は動いてるけど頬から上は動いてないんですね。FFXIIIのムービーとかもそんな感じ。
実際やってるかどうかは別の話なんですが、アバターは…ひょっとして顔の筋肉全体のシミュレーションしてないですか?つうくらいの勢いで。
ゼメキスだってメジャー監督だし、モーキャプ自体は前からあって、だいぶこなれた技術であるはずなのに、たった2年でここまで違うものなのか…とびっくりでした。
BDだから逆に粗が目立ったのかなあ…まあそのへんよう知らんのでアレですが、『アバター』の真の凄さを理解するために、ベオウルフご覧になるのもいいかもしれませぬ。絵はアバター見た後だと「ないわー」って感じですが、脚本は悪くないですお。

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=2010/2/4追記=
・気高い「野蛮人」vs.野蛮な「文明人」図式映画についての言及含む解説。
「アバター」が映すアメリカの苦悩:日経ビジネスオンライン
「ソルジャー・ブルー」(1970年)て事例があるらしい。ネイティブ・アメリカンvs.騎兵隊と。
ベトナム戦争の流れとのこと。なるほど。
オリエンタリズムとかなんじゃかんじゃでもっと遡行していけそうな気もしないでもないけれど、ちょと事例が思いつかないなりヨ...コンラッドとかそゆモチーフあったっけ(不良ガイジンノーフューチャーだったことしか覚えてにぃ)

=2010/3/4追記=
ギャオで「アバター」のメイキング番組やってて見たのですが、
・顔の表情については単純に精細度が違った模様
顔専用のカメラを顎下あたりのジャマにならないところにつけて、クローズアップ状態で撮って、それをのっけてたみたい。
「ベオウルフ」でも上記のように眼球の動き検出とかはやってたし、もちろん顔にマーカーのっけてるんですが...なんでこんなに違うんだろう。結局頂点数の問題なのかな。ストとスト2とスト3の違い的な。
・大きな違いがリアルタイムでモーキャプデータをCGにもってって見れるようにしたこと
もちろん細かいエフェクトとかはなくてのっぺり状態ではありますが、俳優が演技してる→モーキャプデータとる→CGキャラクターにのっける、がリアルタイムでできて、CGで作った背景の動きもそこに入れられるんで、監督はソレを見てOK&NG出せる、俳優も1カットごとに自分のパフォーマンスがどう見えるかチェックできるから演技が圧倒的にやりやすい。ブルーバックで灰色の台の上で演技してるのが、システムにつないだモニタ越しに見ると、かなり粗いけど(初代EQくらい)CGベースでみれるくらいの感じでした。
すでにうろ覚えですが、「ベオウルフ」は撮ったデータを技術者が徹夜でほにょほにょしてるみたいなことを言ってたと思います。
このシステム組むのにあんだけ技術者必要だったんだなーと超納得。