仕事用のめもとか。

メディア等気になることを適当に。

共に在ることの奇跡@ニコ動編(周回遅れ)

WIRED.jp

私はほんとにテレビわかってないので非常にうる覚えなのですが、今の民放バラエティ番組でよくある「VTRに見入るゲストの顔」をすみっこでずーっと出してるのって、テレビの個室化が進行した90年代な気がするんですね。
昔は〜 ものまね番組でまねられてるゲストの表情を映していたよーな気もするんだけれど、今みたいにVTR中にほぼ常時出てるんちゃうかということはなかった、と思うのです。そこで個室でテレビ見てる視聴者は「ゲストと一緒にVTRを見てる」かたちになる。もちろん家族やらなにやらと見ることも多いんですが、あの表現が生まれたのってやっぱりいわゆる一つの時代の要請ではなかったのかと。
で、ニコ動が盛り上がってるのもそのへんかなと。
視聴時間はズレてるし、どこの誰が見てるのかもわからないけれど「一緒に見てる」感覚を生み出せてると。
「実際に」時を共有してなくても「事実上(=ヴァーチャル)」共有することってのは可能だちゅーことですね。人間のリアリティ補完能力は凄まじいものがあるからにゃー。

メディアちゅーものの本当の効果は、受け手の間になんらかの共同性を生み出す点にあるのよねみたいな。それが具体的な共同体を醸成するかどうかは別の話で。

『想像の共同体』で、「近代人には新聞が朝の礼拝の代わりになった」つーヘーゲルの言葉を引用してたと思うんですが(出典シラネ)、新聞とかの場合はお互いの反応てあんまリアルタイムには見られないわけだし(それがみられる場面つーことで読者の声欄とか人生相談とかって非常に重要ではあるんですが)、ほんとに「想像上の」共同体ではあったんですけれど、それがネットできて掲示板やらblogやらSBやらなにやら以下諸々で激変中な昨今と。

=参考=
|x・)つ[あれげ日記]

=07/08/20追記=
お盆ですね というか、また障害発生、すみません - ニコニコ動画 開発者ブログ(新着情報)
ニコ動開発経緯。

非同期コミュニケーションはドワンゴがネットゲームが主力ビジネスだったころから意識しており、ネットにおいて同期型コミュニケーション(WEBサービスや多くのネットゲーム)に比較して非同期コミュニケーションの代表であるメールがまったく進化していないのはおかしい、というのが、メールポータルを目指してニワンゴがつくられた大きな理由のひとつです。

N64版のどうぶつの森のような非同期コミュニケーションの要素をMMO型のシステムに持ち込むことは可能ではないかと考えており、それを携帯での放送アプリでありパケラジの次期システムの目玉にしようというのが、そのそもの出発点でした。われわれの構想するネットライブ(パケラジ2.0)は、放送がはじまったときは3人しか観客のいないライブが非同期的にユーザーが参加することにより、翌日には100人に増えているというようなものです。

ちょwwwまた任天堂か!!!
ぶつ森が原型イメージに入ってたという話は非常にわかりやすい。わかりやすくて怖いwww

ネットライブのブレインストーミングのモデレートをやってもらったのがUEIの清水君です。
彼が、われわれが考えていた非同期コミュニケーションによる疑似ライブのコンセプトによく似たものがあると教えてくれたのが名古屋大学の長尾研究室でつくられていたsynvieというサービスでした。

synvieは、動画に疑似チャットのようにコメントをつけられるという、ニコニコ動画の最大の特徴とおもわれている要素をすでにもっている動画サービスでしたが、清水君に紹介されてしばらくの間は、同じような非同期ライブのコンセプトが世の中にネットライブ以外にもあったということに驚きはしたものの、しばらくはそれ以上の可能性には気づきませんでした。

われわれが、当初synvieに興味をもたなかった理由は以下のようなものです。

・ 非同期ネットライブという観点から考えると動画への疑似チャットだけでは、我々の目標の小さなサブセットにしかすぎないと思えた。
・ 動画サイトとして考えると、すでにyoutubeの覇権は確立していて、疑似チャットをつけても、一芸だけもったイロモノサイトにしかならないだろうと思った。
・ 利用のされかたと広がり方、プロモーションのやりかたのイメージを具体的に描けなかった。

最初は食いつかなかった理由は理由でわかりやすいんですが、なんでこっからサービス立ち上げに至ったのか、激しく希望。超希望。世界人類の幸福のために是非書いてほすいお!

=おまけ=
Nagao Lab. 名古屋大学長尾研究室
オンラインビデオアノテーションシステムSynvie。
あれ、これ例のおフランス愛好者ツールにかなり近いもののような...
→■国際シンポジウム『〈 愛好者 Amatorat 〉をめぐって』 - 24-Hour Survival

それぞれこういうシステムの開発経緯の文脈あるんでしょうが、あっちゃこっちゃでやってはるのねー。
それにしてもなんつーか著作権の問題がナー...映画研究にしてもテレビ研究にしてもそこがネックなのがじれったい。アメリカはテレビ番組アーカイブあるっぽいんでかなりマシらしいんですが、日本でテレビ研究とか枷が多すぎてどもこもならんかった。