金子光晴『絶望の精神史』を読み読み。
金子光晴、自分は「詩を読む」というのがあんぽんたんぽかんで詩人としての作品は未読ですし、なんか二人の女の間で結婚離婚を繰り返し、生涯gdgdだったっぽいという断片的な印象を持っているものの、どーいう人だったのかもよーしらんレベルなのですが、散文作品は相当好きです。
ひらがな開き多めのえろーすな文体イイ。リズムかなりクセがありますが気持ち良い。
自分の中では「ノーフューチャー文学」に分類(他にこのジャンルに入れてるのは、ディックほぼ全作品とか『ロリータ』とか、モームの南洋物(『コスモポリタンズ』だっけ)とかコンラッドとか、そのへん。人生がもうあらかじめダメでダメでどーしようもない、という感じで。でも太宰とかはあんま入らない。ダメのどん底抜けてないという印象。ヤツにはなんつーか甘えがあるし。『夜の果ての旅』とか『路上』とかは境界線上くらい。)
戦前、嫁とマレーシアなど東南アジア中心に出奔というかなんというかよーわからん長期滞在してた時の紀行文。
- 作者: 金子光晴
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/11/25
- メディア: 文庫
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しかしWikipediaの作品リストが全然ダメなのはどーいうことだ。
で、ぷらりとブックオフ立ち寄ってみっけて読んでみました。
- 作者: 金子光晴,伊藤信吉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/07/10
- メディア: 文庫
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ま、この人明治生まれなので、アマゾンの要約としては「時代の奥の真裸の人間を凝視する明治生まれの詩人が近代100年の夢に挫折した日本人の原体験をたどり日本人であるがゆえの背負わされた宿命の根源を衝く。近代史の歪みを痛烈に批判する自伝的歴史エッセイ。」てことになってるのですが...てろんとろん文体に毒満載。なにこの超今のご時世にぴったり感。
一文一文ぐっさぐっさと突き刺さるというかもー...orzorzorzorz
というわけで、読みはしたもののこれ要約する体力なんてひとかけらも残ってないので定番書評参照。
■
書評つうかほぼダイジェストなのはネタの仕様上仕方がないと思います。なにしろ、いかんともしがたくぐうの音も出ないからにゃー。
この本の立ち位置というか方法論は、
金子光晴が本書で書きたかったことは、「日本人のもっている、つじつまの合わない言動の、その源である」。金子は日本人がどうしてこんなにくだらない日本人になってしまったのかということを怒りながら観察して生きてきた。なぜそうなったのか、それはどこからきたのか、それでいいのか。
しかし、その矛盾の多い“源”を突き止めるのは一筋縄ではいかない。なにより金子自身の生き方を通し、その生き方を問いつつ考えざるをえなかった。
金子はこの苦渋に満ちた試みを、恐るべき自己客観とすばらしい露悪趣味によって泳ぎきった。そのためにおそらく金子は、次の方針を貫いた。(1)書きたいことを書く、(2)身近な人間の生きざまを露出させる、(3)気にいらないことはあけすけに指摘する、(4)自分のなさけない人生の大半も隠さない、(5)それらを通して日本人と絶望の関係を徹底的にハッキリさせる、(6)あまり考えないで書く、(7)明治大正昭和を生きてきた実感に頼って書く。
このようなことを貫いた意地に、20代のぼくは心底感服してしまった。当時のぼくにはとうてい予想もつかないような焦燥と苛立ちがぼくの血を逆流させたのだ。
そして〆。
「日本人の美点は、絶望しないところにあると思われてきた。だが、僕は、むしろ絶望してほしいのだ」。
(略)
「人間が国をしょってあがいているあいだ、平和などくるはずはなく、口先とはうらはらで、人間は、平和に耐えきれない動物なのではないか、とさえおもわれてくる」。
(松岡サイトから再引用)
松岡書評の冒頭で、一気読み推奨されているのは、最盛期スヴェトラ並みにパワーありすぎて読み手ぶっとばされるというか、読めば面白いし、読まないといけない本だ感もひしひしとあるのだけれど、なんつーか身体がついていかなくてもう一度開き直すのが苦痛に感じられてしまうというかなんというか。若いうちに初読しておくべきだった...夜中に思い立って中野からママチャリで新宿2丁目のクラブいってくねくねと謎のおろりをおろったあげく、
金子....流麗てろんとろん系ダメな人だと思ってたのに...
自分としては、
Ω<話はすべて聞いた!金子がダメでダメでしょーがなかったんじゃなくて、少なくとも明治以降の日本がいかんともしがたくダメでダメでしょーがないんだよ!!! というかこれ書いてて金子光晴と井上光晴と混同してたっぽいのに気づいたよ!
ΩΩΩΩ<な、なんだってー! それよく考えたら全然年譜も文体も違うやないけ!
こんな感じ。