仕事用のめもとか。

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情報社会学序説 At home in the last modern

■[書評]情報社会学序説 At home in the last modern(HPO:個人的な意見様)
http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2005/08/_at_home_in_the_8f05.html

今回、読了してどうしても気になって仕方がなかったのが、文明の進化がひとつのテーマであるにもかかわらず「絶滅」についての考察がないことだ。べき乗則は、多分リンクから離れて死滅し、淘汰されていくノードの存在が前提にあるような気がしてならない。本書からは、こうした「絶滅の予感」がない。文明論のアナロジーとして使っていらっしゃるシグモイド曲線は、私が理解している限りでは、成長し、数が増えていくノードの間で、えさ場(ニッチ)の取りあいが生じる様子を記述したロジスティック関数から得られると想っている。また、リアルの社会との関わりがどんどん薄くなる方向でネット界隈に生きる若者が、公文先生の期待する「智のゲーム」の時代を生き抜く「智衆」であるとは私には想いずらい。本書において「創発」という言葉で示される自己組織化の多くの現象も、どちらかというと「賢いつもりで人間は行動しているが、それでも全体としてみれば極めてシンプルな形にいきついてしまう」と読むべきではないだろうか?

公文先生の本って、国内ではものすごく早く*1からネット公共性とか着目されているんだけれど、なんかこう・・・普及してフタを開けてみたら厨の跳梁跋扈とネット市民ってなんですか?マターリ組が圧倒多数ではあり、実情と照らし合わせると、どーも納得いかない部分が大きい、と思っていたのだけれど*2、このHPOさんの「文明の進化がひとつのテーマであるにもかかわらず「絶滅」についての考察がないことだ。」てコメントはなんか自分にはインパクト。

これどう捉えるか、もちょい時間がかかりそうですが。

*1:インターネット開闢(1994年)以前からのはず。

*2:しかしそれなりに公共性なり互助の感覚なり、あちこちで見られるようになって来たというかこっちの目が慣れたんだろうという気もするけれど、これはまた別の話。