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「第9地区」を今頃みた(周回遅れ)

第9地区 [Blu-ray]

第9地区 [Blu-ray]


上映してる頃にバタバタしててつい見忘れてたので今頃。ここ10年でぶっちぎりにクールな映画でした。映画館いけばよかったお…
ジャンルとしてはSFアクション(ファーストコンタクト物)×社会批判→感動オチ、になりますが、残虐場面も多数。残虐といってもなにやらカラっとしてて、そのカラっと感が諸行無常感をイヤでも押し上げる系です。
基本ストーリーとかはウィキペディアに丸投げ。
第9地区 - Wikipedia

=全体の感想=
・そもそもヨハネスブルクの上空で巨大宇宙船がとまったまんまなのが絵としてSUGEEEE
・スラム街の描写が、場所が場所だけにどうしていいかわかんない...えっと、この空撮とかCG?本物?
・さりげに一瞬出てくる板野サーカスとか、バルキリーっぽいパワードスーツ...なんぞこれと思ったら、板野監督のインタビュー記事出てた。(板野一郎監督が激白! 大ヒットSF映画『第9地区』と"板野サーカス"の意外な接点とは? - 日刊サイゾー
・話が進むにつれて、パパエビがだんだんイケメンエビに見えてくる...不思議!
・子エビかわいいよいたいけだよお利口だよ
・こんだけめちゃくちゃな映画なのにラストはうるっと…どういうマジックだ。
=社会批判部分=
・「資本主義」サイド
象徴するのがMNU。(少なくともトップは)白人であり、軍事産業ともつながってる大組織です。
人権団体のギャースカを回避しながら、エビ管理でお金儲け&エビじゃないと使えないエビ武器をなんとか人間にも使えるようにしてさらに大もうけしようと、暗躍中。お察しの通り、エビを使って色々非合法な実験とかもしてるデス…
主人公はダメな子とはいえ一応トップの娘婿なのに、エイリアンの兵器使えるようにするためなら切り刻んじゃってもGO☆とかクレイジー。ていうか嫁パパ、主人公がうざくてしゃーないので、危険のある任務でうっかり死んでくれたらいいのに…と思って「昇進」させてない? エビ制圧の現場は現場でエビ殺すのがダイスキなマッチョ親父が仕切ってて、ヤな感じ。
主人公も最初のうちは面白がってエビの卵を壊して遊んだりしてます…人間だもの。
ちなみに、事件後に主人公の同僚がセキュリティカメラの映像その他諸々の資料をほじくり返して大公開→ほんとのことがわかる、という構成になってるんですが、その同僚はよくわからん罪でひっぱられて収監中。なにこのあるある感。
自分的に一番ヤだったシーンは、エビ化しはじめた主人公にむりやりエビ武器握らせて撃たせる場面。最初はそんなゴツい武器、握るのもイヤ!と暴れる主人公に無理やり握らせて、電気ショックで撃たせるです…

・「暗黒大陸アフリカ」サイド
エビ隔離地区に住み着き、エビを食い物にするナイジェリア人ギャング。呪術とかよくわからん独自文化つき。白人×資本主義だけが人の悪ではないのです。
単純なエビvs.人類にしちゃうと「正義と悪」方向にいっちゃいやすいんですが(例『アバター』)、この第三項が入ってることでプロットも面白くなってるし、貧困ビジネス担当が入ってることで、エビと人間のギスギス社会のリアル感も大幅アップな気がします。
植民地支配って、タゲそらしに金融やら商業得意な異民族入れてクッションにするのが王道ですもんね…的な。たとえばマレーシアだと金融はインド系、商業は華南系が握ってて、昔はマレー系による華南系集団虐殺事件とか起きてたりです…

・エビサイド
パパエビ、子エビ、パパエビの友達の3人以外は、知能低い方向。
作中、どうしてこういうことになったのかまったく説明されないんですが(めも子的にはぐだぐだ設定語りしないというのは評価↑)、てけとに妄想したら、よくわからん感染症とか代謝異常とかでどーとかなってそーなっちゃった、とかでしょうか。運動能力は人間より圧倒的に高いです。
ちなみにエビチーム、見かけがキモいだけで無垢な犠牲者かというとそんなこともなく、窃盗やら破壊やらがんがんやらかしますし(なのでヨハネスブルクの一般市民のストレスもマッハ…そもそも宇宙船の圧迫感もただ事じゃないしな)、人間の子どもがセミの足をもいで遊ぶように、生きている人間の手足をもぐ描写ががっつり入ってます…エビだもの。

=キャラクター=
・主人公
チキンだし、心なしか頭悪そうだし、「ちょっと困った人」的なキャラなんですが、なんか妙な存在感というか、ああこういう人どっかにいそうよねー感が高い。
て、セリフは俳優(本来は制作側の人らしい)によるアドリブって…びっくりゃ!
シャールト・コプリー - Wikipedia
とろい子で、傭兵とかにも素で露骨にバカにされてたのが、色々あってブチ切れて気が付いたらアレコレ殺傷しまくってたような気もしますが、逃げちゃダメだ逃げちゃダメだだったので仕方ないのです。
後々のPTSD心配だけど。
・主人公の嫁
出番は非常に少ないんですが、妙に印象的でした。嫁はMNUトップ(たぶんとてもお金持ち)の娘で明らかに美人、なんで挙動不審気味な主人公なんぞとくっついたのかわけわからんのですが、なぜそうなったのかは皆目見当がつかないんだけど、そこに愛があることはとてもよくわかる描写になってます。
特に、ハンドメイドでわけわからんものを作るのが好きな(でもセンスはよくないっていうか子どもの工作レベルぽい…)主人公が作りかけてたとこに、知らずに嫁がうっかり座って潰しちゃったけどなんとか色は塗ってみた的な紙粘土のボウルを、嫁が大事な思い出の品としてインタビューアに見せる場面とか泣ける。ええ子や。
・パパエビ
20年かけてようやく故郷へ帰れるかもしれない筋道つけたら、タイミング悪く主人公に絡まれてエラいことに…でもあきらめないの!
武闘派というよりインテリ技術者な感じ。スタートレックで言えばオブライエンとかかしら…主人公と敵地へ潜入するときに、主人公が思わずバリバリ武器撃って人間の犠牲者出しちゃったら、「誰も殺さないって言ったじゃないか!」て怒ったりします。
ていうか、本来の主役ってパパエビのような気がしてきた…

いずれにしても、監督のニール・プロムカンプはまだ30歳だそうなんで、これからどういう作品を撮るのか期待大でございます。名前覚えにくいけど覚える!

=2010/12/8追記=
新作キタキタキタ?
「第9地区」の監督と主演俳優、謎の新作映画で再タッグ!/ニュース : 映画がもっとおもしろくなるハリウッドチャンネル

低予算で出演俳優もほぼ無名だったにもかかわらず、全米初登場一位を獲得した新感覚SF映画「第9地区」(10)。同作のニール・ブロンカンプ監督と主演シャルト・コプリーが、新作「Elysium(原題)」で再タッグを組むことがわかった。

【関連写真】「第9地区ニール・ブロンカンプ監督が謎のショートフィルムを製作!

エンタメニュースサイトdeadline.comによると、ブロンカンプ監督は現在、自身の新作をスタジオに売り込んでいるというが、「Elysium」の内容については“地球以外の惑星を舞台にした近未来モノ”という設定以外には明らかにされていない。

ちなみにElysiumとはギリシャ神話に出てくる言葉で、“理想郷”という意味を持つ。