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新井旅館@修善寺

週末に両親にくっついて修善寺の新井旅館にいってきたのです。
【公式】伊豆の修善寺温泉 新井旅館 国の登録文化財の旅館
明治創業の老舗旅館で、明治時代〜昭和初期に増築して行った客室棟が文化財指定受けてる旅館で、岡本綺堂が滞在して『修善寺物語』を書くとか、安田靫彦&横山大観が滞在しまくって作品残しまくりだわ、梨園とも縁が深くてどうのという旅館なんですが、自然を生かした配棟、余裕のある設計(天井高とか廊下の幅とかかなりある&私ら泊まった部屋は12畳+6畳+3畳+縁側的ななにか+内風呂トイレ洗面所別…うちが2つ分くらい入るよ!)とか、良いところでした。窓や廊下のガラスが昔の、歪みのあるのなのもレトロ感いっぱい。
伝統工法なので、木造建築部分は石の上に柱をのっけてる構造なんですが、先年の伊豆地震(震度5)でも平気で、補修する必要もなかったとかなんとか。
それだけなら古い高級旅館なら稀にありげな話ではあるんですが、こちらは芸術と深い縁があるそうで。
新井旅館とは?
要するに、三代目相原沐芳が芸大中退→貧乏してる友達知人呼んで宿飯絵の具提供して、絵を描かせてたりしてた…ら、何人呼んでどれだけのことをしたのかわかりませんが、中から大成するヒトも出てくるわけで、そこで出たアタリが安田靫彦&横山大観だったと。デカいの引いたわー。
んで、おまけで安田が天平風ということで設計した「天平風呂」。
修善寺 温泉掛け流しのお風呂|伊豆の温泉 旅館 新井旅館
左側の写真なんですけど、大寺院じゃないとねーよって太さの柱(しかも芯を避けるために1つの丸太から4つとったとかなんとか。元の木が直径2mくらいはないとムリだべ…)+エラい巨石(岩盤の一部だったかも…)などなど、入ってると妙に「おおらかな気持」になっちゃう良い湯でした。シャワーついてないとか、かけ湯は源泉と水を汲んで自分で割らなきゃなんねとか昔ながら仕様も味です。

それにしても、今もの凄くお金かけて良い旅館作っても、なかなかここまでアウラを引き寄せることって難しいと思うんですね。
昔は小説家とか詩人とか諸々文化人の立ち位置が「セレブ」的なもので、ゴシップの対象にもなってたし、一般の人が今では考えられないくらい親しみをもってたとかなんとか金井美恵子の目白三部作で誰か言ってたような気もしますが、今、作家呼んだりアーティスト呼んだりとかしても、なかなかこうはならない。
そのへんやっぱり当時と今の文化(生産&消費)のあり方の違いなのかなんなのかよくわかりませんが。
というか、修善寺自体、川の中の独鈷の湯は有名じゃあるけれど、単純泉といえば単純泉ではあり、アクセス良くないっちゃ良くない…谷だから広く一帯を開発するというわけにもいかない、で、温泉そのものの価値よりも、こういう文人墨客アウラで相当底上げされてる場所ではあると思うんですね。
そのへんで、この旅館だけじゃなくて、修善寺そのものの地域おこしとして結果的に非常に長いスパンで効き続けてるんではないかと思います。
この旅館から歩いて25分くらいのところに梅林があったりするんですが、そこの富士山の見える一番いいところにも新井旅館所有の茶屋があったりで、ひょっとしたら総合開発的なこともしてたのかな…

ちなみに近くにある源範頼の墓に行ってみたら、石灯籠に「新井浴客 山梨県 ほにゃほにゃ兵衛寄進」とか書いてあってちょっとびっくり。
湯治に来て、散歩したらあまりに寂しくていくらなんでもカワイソウって建ててあげたんでしょうか。石灯籠って結構するもんだと思うんだけど…範頼さんもたぶんびっくりしたと思うの…!

=おまけ=
なんか喫茶店入ったら、和風の布小物モビール?的なものが飾ってあって、えらいかわいいわーと思っていたら、伊豆稲取周辺の吊るし雛というものでした。鮮やか色ちりめんで作ったまるっこくてカワイイのが色々ぶら下がってるのだけど、ひとつひとつに厄を払うとかお金が集まってくるとか意味があるっぽい。本来は女の子の初節句に家族や近所の人が作ってどんど焼きで炊き上げていたもんだそうで、厄払いという儀礼からしたらそれが本筋なんでしょうがもったいにゃーということで観光資源としてアピールしてるようです。
稲取温泉旅館協同組合公式サイト・雛のつるし飾りまつり / 稲取温泉こらっしぇ
キットとかも売ってるっぽい。
ちりめん細工/つるし雛【専門店】キット,販売,静岡・伊豆,つるし飾り作り方や手芸全般