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「パンズ・ラビリンス」※ネタバレアリ

パンズ・ラビリンス - Wikipedia
妖精さんとまだぎりぎり交信できる年の娘っこオフェーリアが、妖精に導かれて入ったパンの迷宮でほんとは地下の王国の王女様なんだよーとパンに言われて、本来の自分を回復するために3つの試練に立ち向かう、というお話。
試練も稀によくある神話的なアレで、ファンタジー王道なんですが…非常に居心地が悪い。たぶんその居心地の悪さを狙ってるよーな話です。

オフェーリアが置かれているのは、父親死別、ママは妊娠→ゴリゴリファシスト軍人(やはり軍人だった父親との葛藤がえらいことになってたらしい雰囲気)と再婚、全然環境の違う山奥の前線に連れて来られて、なついた相手メルセデスはレジスタンス支援者…という状況。
彼女が直接目にするわけではないけれど、軍人のやらかす拷問、暴力の描写がほんとにいやあああああああで、あばばば。スペイン映画(監督はメキシコ出身らすい)ですんで、モロな残虐場面という方向ではないんですが、非常に嫌らしい。これPG12でいいのかという勢い。
ダークファンタジーというふれこみですが、ファンタジー部分はそんなダークでもなく(2番目の試練はキモコワイけど)、部下にもdnbkされまくってるファシスト軍人の民間人への暴力とかの方が鬼盛りダークです……ウサギ狩りしてた親子とかさああああ。うわーん。
んでその中で、オフェリアは3つの試練を果たし、王国に迎えられました!というオチにはなっているんですが…ヨカッタヨカッタと思える観客はたぶん非常に少ない。最初っから「転生してるのは魂」ということなんで、オフェリアの肉体が傷ついても魂が迎えられればヨカッタヨカッタなはずなんだけど…
オフェーリアの現実の痕跡(ママの容態改善用マンドラゴラたん、どこでもドアチョークなど)は、オトナも目にすることはできる。マンドラゴラたんきめえwwで暖炉に投げ込んだら、ママの容態はその場で大悪化だし、鍵のかかった部屋に閉じ込められたオフェリアはチョーク以外の手段で脱出できなかったはずだし……継父はオフェーリアと対峙しているパンの姿を目にすることはないですが、まああのおっさんが見れるようなもんじゃないだろうし、ということで、地下の王国がオフェーリアの妄想ではなく、現実とは違う現実(誰も傷ついたりしない地下の王国)が現実と並立しているってことにしてね!という演出になってはいるんですが…

それでもなお、オフェーリアの妄想じゃね?感が高い。高すぎる。
「リアルが酷すぎて、妄想でも構築しないとやってらんね」すぎ。
その酷い現実を見るのオフェーリアではなくて、観客の方なのではありますが、そのへんで映画における視点の問題とか、「オチは綺麗についてるのになんかこう…決定不能なのよー!」感をもにょもにょと味わうタイプの映画かなと思いますです。
なぜ他の妖精とか神ではなく、「パン」なのかって問題もあるしな…
映像としては美麗ですし、脚本賞もノミネートしてたくらいで語り口もエクセレントな作品なのですが……(リアルが)ダークなファンタジー映画ということで、気力体力充実した時にでも。

ところで、スペインの女の人って、料理に使うペティナイフをエプロンのウエスト側に巻き込んで常時持っておくものなの?転んだらえらいことになりそうで怖すぎる。