仕事用のめもとか。

メディア等気になることを適当に。

「ゲームセンターにおけるコミュニケーション空間の生成」拝読。

  • 「ゲームセンターにおけるコミュニケーション空間の生成」
    • 加藤裕康(東京経大の院生の方です。ぐぐってみましたがサイトはされてないのかな。たぶん一般の方でこういう研究読みたい方多いんじゃないかと思うんですけど...)
    • マス・コミュニケーション研究 No.67 2005
    • pp.106-122

「ゲーセンでの対面状況において様々な相互行為が行われ、スコアや技の披露で自己呈示し、HN、CN*1を通じて間接的なコミュニケーションがなされていることを呈示した。ゲーセン空間は『対面/間接』コミュニケーションが相互に機能するメディア空間領域の境界に位置するのだ。」(pp.121)というわけで、ゲーセンに集う若者文化&コミュニティみたいな話。
若者文化論つーとストリート・コーナー・ソサエティとか暴走族のとかあるわけで、んでもってカルスタ流れのイデオロギーvs.対抗文化な文脈もあるわけで、ゲームの特質がどうこうよりもそっちのサブカルコミュニティ流れの方重視なのかな?という印象で、一定強制的な空間である学校/家庭と違う文脈のアジールとしてゲーセン評価する、といった方向です。インタビューが紹介されているのは、インベーダー、DDR、格ゲー。あと、ゴフマン使って「一人でプレイしにきてることになってるんだけど/『一人』ではない」びみょーな間合いを記述しようとされてたりします。この分量によくこれだけ詰め込んでわかりやすく書いてらっしゃるなぁとぽかんとするワタクシ。
「ゲーセン」についての言及としては以下の点など(適当にひっこぬいてきたのでもっと重要な論点あったらスマソ)

  • インベーダー時代のテーブル型筐体からL字型筐体(現在多い大画面が縦になってるやつですね)に移ることで、アーケードゲームが「話しにくい→グループ来店が減った/けど(不特定のゲーム好きによる)観客がいる」ものになった。あと、テーブル型筐体の反射気にしなくてよくなって、店内の照明が明るくなったことで、客層変化が起こったとか。
  • ハイスコア登録システムによる競争相手/仲間の意識の発生(香山リカ『テレビゲームと癒し』とか桜沢えりかのマンガを引用。たまたまとはいえなんで♀著者ばっかなんだろう...自分もその他の例ってちょっと思いつきませんが。『ゲームセンターあらし』紹介するわけにもいかないしなぁ...)
  • 男の子文化格ゲーvs.女の子文化プリクラ。プリクラは入り口に、格ゲーは奥に、でレイアウトしているお店が多いのかな? プリクラを下手に入れたばっかりにゲーム筐体の更新がおいつかず、プリクラ専門店化したゲーセンやら、奥に格ゲーがあるので、ゲームには興味あるしやりたいんだけれど、怖くてそこまで入れないゲーム女子の魂の叫びなんかも紹介されています。...このインタビュー、日付的に東京ゲーム・ショーでインタビューしてるっぽいですね。イキロゲーム女子。

あと、国内のゲーム悪影響論vs.実証研究では悪影響っていえるほどのもの出てこないよママンねたとかあるので、そのへんが気になる方はどぞ。というか、『コミュニケーション科学』(21号 2005)『現代風俗学研究』(第11号)にゲーセンコミュニケーションノートの内容分析を発表されているようです。ただしこのへんの媒体、大学図書館、国会図書館級じゃないとなかなか入手できないと思いますので、非大学生の方は...加藤様がサイトぶったてて晒してくださるようお祈りしててください...
専門論文ですが、先行研究やら若者文化評価の流れとかはちょっと別として、ナカミの部分は一般の方でも問題なく読めると思います。

*1:引用者注:ゲーセンに置かれたコミュニケーションノート